コンタクトレンズを使い始めてから「目が充血しやすくなった」「メガネに変えてもよく見えない」といった症状はありませんか?それはもしかすると、コンタクトレンズの酸素透過率が低いのかも知れません。
目は涙が運んでくる酸素で呼吸をしているので、酸素不足になるとさまざまな不調や病気を引き起こします。
今回はコンタクトレンズの酸素透過率について、目に必要な基準値、酸素不足になる仕組みと症状、酸素透過率の高いコンタクトレンズの探し方など詳しく解説していきます。
1.コンタクトレンズの酸素透過率(Dk/L)とは
コンタクトレンズの酸素透過率とは、装用した時にどれだけ眼球に酸素が届くかを表した数値です。数値が高いほど目に届く酸素の量が多く、目に負担が少ないと言われています。
酸素が通りやすい(酸素透過係数:Dk値が高い)素材で、厚み(L)が薄いほど酸素を良く通すので、酸素透過率はDk値をコンタクトレンズの厚み(L)で割った「Dk/L」で表記されます。
コンタクトレンズを終日付けている場合に必要なDk/L値は24.1以上といわれています。
ただし、Dk/L値の表示義務はなく、酸素の透過率はレンズの厚み、素材、含水率も関係します。酸素透過率がDk/L値で確認できない場合は、それらの要素から総合的に判断しましょう。
厚生労働省の「高度管理医療機器」の承認を受けている製品であれば、安全基準をクリアしていると考えて大丈夫です。
2.コンタクトで酸素不足になる仕組みと症状
どうしてコンタクトレンズで酸素不足になるのでしょうか。目に酸素を送る仕組みや、酸素不足で起こる症状を説明していきます。
コンタクトで酸素不足になる仕組み
目の角膜、いわゆる黒目の部分は光を通すため、透明で血管もありません。血管のない角膜は血液から酸素を受け取れない代わりに、涙液に溶け込んだ空気中の酸素を取り入れて呼吸をしています。
普段は酸素をたっぷり含んだ涙液が角膜を覆っていますが、コンタクトレンズをするとフタをするようになって、角膜に届く涙の量が減って目が酸素不足になってしまうのです。
目の酸素不足で起こる症状
目が酸素不足になると、次のような症状が生じることがあります。
- 充血…血流を増やして角膜に酸素を届けようと血管が拡張しやすくなる。
- 感染症…酸素不足の目は抵抗力が落ちるため、感染症にかかりやすくなる。
- 新生血管…酸素を取り入れようと角膜に向かって新しく血管が作られる場合がある。悪化すると視力の低下にもつながる可能性も。
- 角膜障害…酸素不足の角膜は傷つきやすくなる。悪化すると、角膜びらん、角膜浸潤などの角膜障害につながるケースがある。
- 角膜内皮細胞の減少…酸素不足になると角膜の透明性を保つ角膜内皮細胞が減少して視力低下につながる。一度減ると戻らないため要注意。
自覚症状がなくても症状が進行しているケースもあるため、日頃から目の酸素不足へのケアや定期健診を心がけましょう。
3.酸素透過率が高いコンタクトレンズの探し方
酸素透過率が高いコンタクトレンズはどのように探せばいいのでしょうか?Dk/L値が確認できるようであれば、ソフトコンタクトレンズではDk/L値24.1以上を目安にしましょう。
またDk/L値は表示義務がないため、確認できない製品もあります。その場合は以下のポイントで選ぶと酸素量が確保できるコンタクトレンズが見つかるでしょう。
- 高度管理医療機器の承認がある
- 厚みが薄いレンズ
- 含水率50%以上(高含水)
- シリコンハイドロゲル素材
高度管理医療機器の承認がある製品は、酸素透過率の上でも安全基準を満たしているため安心です。また、コンタクトレンズは厚みが薄い、含水率が高いほど酸素を通しやすい性質があります。
最近はハイドロゲルより酸素透過性の高いシリコンハイドロゲル素材のレンズも増えています。従来素材(ハイドロゲル)の約4倍の酸素透過率があり、乾きにくいため酸素を届ける涙量も確保してくれます。
4,目の酸素不足は酸素透過率以外にも注意
どんなに酸素透過率の高いコンタクトレンズを選んでも、使い方が悪ければ酸素が届きにくくなり、目の負担が大きくなります。
目の乾燥を防ぐために装用時間は必ず守り、目薬などのアイテムを使うことも重要です。
また、レンズが汚れていると感染症になるリスクも高まるので、ケアはこまめに行いましょう。こすり洗いはもちろん、タンパク除去を行えば快適さを取り戻せます。
角膜の負担は自分で気づきにくいため、3カ月に1回の眼科の定期検診は必ず行いましょう。
5.まとめ
コンタクトレンズの酸素透過率は装用時にどれくらい目に酸素が届くかを表した数値です。「Dk/L」で表記され24.1以上が目安といわれています。
目が酸素不足になると充血や感染症のリスクが高まる恐れがあるため、コンタクトレンズを選ぶ際は酸素透過率にも注目しましょう。
ただし、Dk/L値は表示義務がないため、酸素を通しやすいレンズの素材や含水率、安全性を承認する高度管理医療機器の認可なども合わせて確認すると安心です。